Leonardo Bravo
レオナルド・ブラーボ
Classical guitar, Tango & Folklore Argentino
クラッシクギター,アルゼンチンタンゴ&アルゼンチン・フォルクローレ
Paraná Music Office
Critic about the CD "Tango masterpieces"
レコード芸術 2016年2月号 濱田滋郎
CDタンゴ名曲集 〜カナロからピアソラまで〜
ギタリストのレオナルド・ブラーボは日本在住が既に長くなるが、広いレパートリーの一隅に、故郷アルゼンチンの民俗芸術、フォルクローレそしてタンゴの精華を、つねに大切に培っている。このたび、彼が「父親に捧げて」世に出したこのアルバムには、タンゴへの並々ならぬ知識と愛着が示されている。ブラーボは先年、タンゴの楽譜集 ーギター独奏のためのー を現代ギターより公にしているが、CDはそれと、ほぼタイアップする形で作られている。ピアソラ作品から《アディオス・ノニーノ》《ブエノス・アイレス午前零時》《オブリビオン》のような名作を選んでいるいっぽう、古典的タンゴからも逸品を多く採り上げている。それも《エル・チョクロ》のように誰でも知っている曲だけでなく、たとえばマフィアの《ベンタロン》、バルディの《恋人もなく》、コビアンの《リアチュエロの霧》というように、いわば、”通向き”の渋い名篇をも選んでいる。これこそ、彼がタンゴという”心のジャンル”に寄せる愛着の真摯さを物語ることだと言えよう。全ての曲がブラーボ自身の編曲であり、中の2曲、《オブリビオン》と、フレウリの《テ・バス・ミロンガ》は彼自身の重複録音による二重奏となっているが、これらもかなりの効果を上げている。”タンゴを弾く”という行いは、けっして譜面を正確に再現して足りるものではなく、文字どおり筆舌に尽くせない微妙なニュアンスづけが肝要。ブラーボの強みはまさしくそこにある。
現代ギターMagazine
CDタンゴ名曲集 〜カナロからピアソラまで〜
現代ギター社から発売された曲集「タンゴ名曲集〜カナロからピアソラまで」(GG539)の編曲者自身の演奏による準拠CDである。準拠ということで、おおむね出版譜に沿った演奏であるが(ただし〈オブリビオン〉の1stはかなり即興が入っている)、単なる模範演奏集ではない。楽譜では表現する事が難しいテンポの揺れや微妙な間、繊細な音色やニュアンスの変化、多彩なアーティキュレーション、そうした演奏に込められた様々な要素がこのアルバムの価値を大いに高めている。そしてなによりタンゴをタンゴたらしめるそのリズム感、さらに胸を締め付けるような切ないメロディーの歌いまわしといったことは、アルゼンチン出身のブラーボにとっての”お国のもの”という以上に、彼の音楽家としての優れた表現力とギタリストとしての傑出した技術力の現れであろう。もちろん出版譜の模範演奏としての聴き方も可能だがそれだけではあまりに惜しい。ぜひCD単独としても愛聴盤としてその類まれな演奏を楽しんでいただきたいアルバムである。ちなみに収録曲中3曲はブラーボが両パートを演奏した多重録音による二重奏曲であるが、多重録音とは思えぬほど両パートが緊密に絡み合う様子も聴きどころである。
Acoustic Guitar Magazine 2016年 winter issue 伊藤賢一
CDタンゴ名曲集 〜カナロからピアソラまで〜
アルゼンチン出身ギタリスト、レオナルド・ブラーボによるタンゴ編曲集。現代ギター社の依頼で手がけたという楽譜集「タンゴ編曲集」の録音盤である。ピアソラの名曲群に加え20世紀前半に活躍したタンゴの名曲をたっぷり楽しめる。彼の編曲は誠実かつ的確で、自国の音楽文化であるタンゴとギターへの愛に満ちている。音楽を知り尽くした演奏もとても伸びやか。キレと粘りのある絶妙な音色を堪能できる。デ・カロ「黒い花」のリリカルな美しさは必聴。心地好い時間を彩る恰好の一枚。プレイヤーならば楽譜と合わせて楽しまれるべし。