Leonardo Bravo
レオナルド・ブラーボ
Classical guitar, Tango & Folklore Argentino
クラッシクギター,アルゼンチンタンゴ&アルゼンチン・フォルクローレ
Paraná Music Office
press
Cover and Interview on the classical guitar magazine "Gendai Guitar"
Cover and Interview on the classical guitar magazine "Guitar no Tomo"
日本デビュリサイタルレポート(Gendai Guitar magazine by Shingo Fujii)
レオナルド・ブラーボ Leonardo Bravo と言う名前のギタリスト・・・、アルゼンチン出身のギタリストをご存知の方は少ないだろうと思うのです、3月18日までは・・・。私が彼からの連絡をも らったのは昨年のこと。彼が活動の拠点を日本へ移すには大きな決断が必要だったはずですが、この日の彼の演奏を聴いて、彼の決意の確かさとそしてこれから 身近に享受することの出きる「大きな才能に」大きな喜びを感じたのは私だけではなく、会場に足を運んだ殆どの人がそうであったに間違いありません。
リ サイタルは3月18日、博多・あいれふホールで開催(主催/フォレストヒル音楽工房)されました。抜群の音響、とりわけギターにとっては最高の一つのホー ルと言えるこの会場に颯爽と現れたブラーボ氏は祖国・アルゼンチンの音楽家、E.ファルーとA.ユパンキの音楽から開始しました。とっても澄んでいて軽や かな音、切れ味のよいリズム、そして私達ギタリストをして驚愕させたのは、驚くほど安定したテクニックでした。そのことは続く「ロンド イ短調(D.アグアド)」「ファンダンゴ(J.ロドリーゴ)」「Koyunbaba(C.ドメニコーニ)」 で一層明らかな事となりました。アグアドの難曲が何と軽やかに、そしてロドリーゴの超技巧曲が完璧に演奏されて、会場にはブラボーの嵐。・・・と言うのは いささか大げさな表現かもしれませんが、「大人しい日本の聴衆」には珍しく、そんな声があちこちで聴かれ、会の盛り上がりが全体に及んでいる証と思われま した。第二部は自作品三曲、やはりアルゼンチンの音楽で、タンゴが三曲、さらにピアソラの「秋」「夏」、最後の「シエロ・アビエルト」に至っては、彼が すっかり私達聴衆をあたかも魔法にかけたかのように魅了し、興奮させ、誰もがもっともっと彼の演奏を聴きたいと思って、激しい嵐のような拍手を送っていた のでした。
彼のことをもう少し詳しく書きましょう。リサイタルの二日前、奥様と一緒に、そして今回のリサイタルの主催者であるフォレストヒルの森岡氏夫妻等と一時の 食事会を楽しむことが出来ました。アルゼンチンが二年前から大変な状況になっていて、音楽家にとってもその影響は絶大であること、加えてブラーボ氏が以前 から音楽家としての活動の場を海外に求めていたことなどから、彼の奥様の祖国・日本(博多)が第二の祖国となったわけです。アルゼンチン国内では幾つもの コンクール優勝暦を持ち、また国立ロサリオ大学で教鞭をとっていたという経歴は立派なものですが、昨今の同年代のギタリストが幾つもの国際コンクールでの 経歴を引っさげて登場することを思えば、彼の経歴は決して華やかなものではありません。事実彼の風貌と人柄は、一番上に見られるニヒルなプレゼン用の写真 とは正反対で、人懐っこい笑顔と優しい語り口、一見すると音楽とはあまり関係のなさそうな気取らない性格で、日本の何処にでもいる「優しいお兄ちゃん」と 言った感じです。しかし彼の演奏からみなぎる音楽の限りない生命感や、温かい音楽、そして尽きることのない創造性、気品あふれる歌心、超一流の演奏技術は 彼が最上級の音楽家であることを証明してあまりあるものです。ステージの上で彼がやっていることのどれ一をとっても「派手な所作」や「大げさな表現」など は全く無いのに、こんなにも聴く者をして華やかな気分にしてくれるのですから、脱帽のひとことです。作曲を始めたのは最近のことだと言っていましたが、演 奏会で聞かせてくれたものは、既に熟練の技巧を思わせるような完成されたスタイルを感じさせました。中でも奥様に捧げた「フクオケーナ Fukuokena」の繊細なハーモニーや「チャカレラ」の何とも言えないリズムの妙技は絶品です。
今回博多へは今月末にこちら関西で行う中野義久氏との二重奏の演奏会の練習のために行ったのですが、このような素晴らしい演奏会を聴くことが出来て本当に 幸運でした。既に「フォレストヒル・ミュージック・アカデミー」のギタークラスで教鞭をとることが決まり、これから九州の若いギタリスト達に多大なる貢献 をもたらしてくれるでしょうし、また博多を拠点に、日本中、そして世界で活躍することを心より願っています。(藤井眞吾 記/May.22.03)
Critic about the CD "Tango masterpieces"
レコード芸術 2016年2月号 濱田滋郎
CDタンゴ名曲集 〜カナロからピアソラまで〜
ギタリストのレオナルド・ブラーボは日本在住が既に長くなるが、広いレパートリーの一隅に、故郷アルゼンチンの民俗芸術、フォルクローレそしてタンゴの精華を、つねに大切に培っている。このたび、彼が「父親に捧げて」世に出したこのアルバムには、タンゴへの並々ならぬ知識と愛着が示されている。ブラーボは先年、タンゴの楽譜集 ーギター独奏のためのー を現代ギターより公にしているが、CDはそれと、ほぼタイアップする形で作られている。ピアソラ作品から《アディオス・ノニーノ》《ブエノス・アイレス午前零時》《オブリビオン》のような名作を選んでいるいっぽう、古典的タンゴからも逸品を多く採り上げている。それも《エル・チョクロ》のように誰でも知っている曲だけでなく、たとえばマフィアの《ベンタロン》、バルディの《恋人もなく》、コビアンの《リアチュエロの霧》というように、いわば、”通向き”の渋い名篇をも選んでいる。これこそ、彼がタンゴという”心のジャンル”に寄せる愛着の真摯さを物語ることだと言えよう。全ての曲がブラーボ自身の編曲であり、中の2曲、《オブリビオン》と、フレウリの《テ・バス・ミロンガ》は彼自身の重複録音による二重奏となっているが、これらもかなりの効果を上げている。”タンゴを弾く”という行いは、けっして譜面を正確に再現して足りるものではなく、文字どおり筆舌に尽くせない微妙なニュアンスづけが肝要。ブラーボの強みはまさしくそこにある。
現代ギターMagazine
CDタンゴ名曲集 〜カナロからピアソラまで〜
現代ギター社から発売された曲集「タンゴ名曲集〜カナロからピアソラまで」(GG539)の編曲者自身の演奏による準拠CDである。準拠ということで、おおむね出版譜に沿った演奏であるが(ただし〈オブリビオン〉の1stはかなり即興が入っている)、単なる模範演奏集ではない。楽譜では表現する事が難しいテンポの揺れや微妙な間、繊細な音色やニュアンスの変化、多彩なアーティキュレーション、そうした演奏に込められた様々な要素がこのアルバムの価値を大いに高めている。そしてなによりタンゴをタンゴたらしめるそのリズム感、さらに胸を締め付けるような切ないメロディーの歌いまわしといったことは、アルゼンチン出身のブラーボにとっての”お国のもの”という以上に、彼の音楽家としての優れた表現力とギタリストとしての傑出した技術力の現れであろう。もちろん出版譜の模範演奏としての聴き方も可能だがそれだけではあまりに惜しい。ぜひCD単独としても愛聴盤としてその類まれな演奏を楽しんでいただきたいアルバムである。ちなみに収録曲中3曲はブラーボが両パートを演奏した多重録音による二重奏曲であるが、多重録音とは思えぬほど両パートが緊密に絡み合う様子も聴きどころである。
Acoustic Guitar Magazine 2016年 winter issue 伊藤賢一
CDタンゴ名曲集 〜カナロからピアソラまで〜
アルゼンチン出身ギタリスト、レオナルド・ブラーボによるタンゴ編曲集。現代ギター社の依頼で手がけたという楽譜集「タンゴ編曲集」の録音盤である。ピアソラの名曲群に加え20世紀前半に活躍したタンゴの名曲をたっぷり楽しめる。彼の編曲は誠実かつ的確で、自国の音楽文化であるタンゴとギターへの愛に満ちている。音楽を知り尽くした演奏もとても伸びやか。キレと粘りのある絶妙な音色を堪能できる。デ・カロ「黒い花」のリリカルな美しさは必聴。心地好い時間を彩る恰好の一枚。プレイヤーならば楽譜と合わせて楽しまれるべし。
ブエノス・アイレスの四季 CDCritic Gendai Guitar Magazine
日本に居を定めてから今日に至るまでのブラーボの活躍ぶりは、読者なら本誌を通してよ くご存知のことと思う。数々のコンサートや、アルバムへの参加、出版など注目すべき活 動を数多く行っているが、現在入手可能なデフィスコグラフィーに自身のソロCDがなく、その発売を待ち焦がれていた方も多かろうが、期待を裏切らないすばらしいソロアルバムの登場となった。自国アルゼンチンのタンゴを中心としており、その卓越した技術を基盤に、リズムのノリ、アクセント、間の取り方など”お国のもの”ならではの絶妙な表情 が加えられている。そして歯切れの良い演奏もさることながら、〈冬〉〈想いの届く日〉などの抒情的な作品で見せる、極めて繊細でリリカルな表現は特筆ものである。彼の友人でもあるアギーレの組曲においてはチャカレーラなどフォルクローレの要素が組み込まれているが、民族的な表現においてもブラーボは非凡な演奏を繰り広げる。タンゴ、フォルクローレの両面において卓抜な演奏を展開するブラーボの、満を持したアルバムと言えるだろう。なお、一部の曲は現代ギター社より出版されている楽譜に掲載されているので参照していただきたい。
2016年10月号 現代ギター誌 コンサートレビュー
名手レオナルド・ブラーボが、東京・大泉学園ゆめりあホールでリサイタルを開催。第一部ではまず、18世紀初頭に活躍したサンティアゴ・デ・ムルシアの作品を披露、続くポンセのソナタでは”シューベルト讃”に相応しくロマンチックな歌い回しを聴かせた。タンゴのイメージが強いブラーボだが、こうしたスペイン・バロック作品やロマン派的な楽曲もきっちりと弾きこなすだけの懐の深さを有している。しかしながら、やはり彼の本領を発揮したのは、第2部で演奏された南米作品郡であろう。楽曲ごとに変化するリズムの処理が絶妙であり、裏拍のそのまた裏の裏をいくような寸分の間合いと瞬時に挟み込まれる装飾やメリスマは、それが極めて自然に行われているだけに日本人の感覚では再現不可能かもしれない。楽曲に対する既存のイメージを一蹴するかのような名演であった。
2016年6月号 現代ギター誌 コンサートレビュー
「春の宵のタンゴの宴」と題し、レオナルド・ブラーボと近藤久美子によるデュオ・リサイタルが、東京・大泉学園ゆめりあホールで開催された。アルゼンチン出身のブラーボは言うまでもないが、近藤も数多くのタンゴ人脈の大物アーティストと共演した国内有数の弾き手である。当夜は古典タンゴやミロンガ、モダン・タンゴが演奏されたが、こうした曲種を弾かせるとやはりブラーボの技はずば抜けている。抜群のリズム感と力強さに加え、彼の代名詞とも言える艶やかなヴィブラートを織り交ぜた音色がゾクゾクする程に美しい。そこに切れ込む近藤のヴァイオリンも、ある時は煽情的に、ある時は情熱的に、ある時は官能的に歌い、曲想に応じて自在に変化する。ヴァイオリンとギターという楽器感の音量差も全く感じさせず真っ向から渡り合う二人の演奏は本場のタンゴを十二分に堪能させてくれる素晴らしいものであった。曲間には、主にブラーボによってタンゴ、ミロンガの歴史についての丁寧な解説が挟まれたが、最後に《タンゴの歴史》を演奏し、それまでの演奏を時系列に沿ってトレースしていくコンサート構成もお見事と言えよう。
プログラム:近藤&ブラーボ/ペンタロン、オブリビオン(ピアソラ)、愛のミロンガ(ラウレンス)、ブラーボ・ソロ/エル・チョクロ(ビジョルド)、アディオス・ノニーノ(ピアソラ)、二重奏/恋人もなく(バルディ)、チキリン・デ・バチン(ピアソラ)、ノクトゥルナ(プラサ)、タンティ・アンニィ・プリマ(ピアソラ)、近藤ソロ/バンドネオンの嘆き(フィリベルト)、二重奏/想いの届く日(ガルデル)、タンゴの歴史〔ボルデル1900/カフェ1930/ナイトクラブ1960/現代のコンサート〕(ピアソラ)、軍靴の響き(モーレス)